リピートされない残念な商品を売る会社

何年も前の話、私はソフトウェアの営業をしておりました。
ソフトウェアは毎年機能追加等バージョンアップし、年に1回アップグレード版を販売して既存のお客さんと契約更新をするシステムでした。
その会社に転職して気になっていたのは、新規顧客にしか力を入れない営業方針でした。
なぜ既存顧客のリピート、休眠顧客の再開拓をしないのかと会議で問うたのですが、営業部長からは”無駄”の一言でした。

私は自分の足で過去に販売したお客さん(既存顧客・休眠顧客)を回って社長さんと話をして分かったのは、”ソフトウェアが難しくて使えない”ということでした。
私の回ったお客さんの数で統計を取ると、アップグレード版の契約率は1割を切る状態でした。
1割もリピート顧客、つまり既存顧客がいないのです。

使い方が分からず困っているお客さんがいても、”有償サポートに契約しない限り一切のサポートをしてはいけない”、という営業部長のお達しがあり、私も大事なお客さんにサポートしてあげたくてもできずにおりました。

しばらくして私はこの会社を去りました。
お客さんを大事にしない会社に居たくありませんでしたから。

現在のマーケティングの考え方は、お客さんを教育し、ファンになってもらい、自然と買ってもらえる仕組みを構築することです。

商品サービスを売ったら売りっぱなし。
既存顧客を大事にしない。
リピートがないから常に新規開拓しなければならない。
そんな営業方針をしている会社は今後淘汰されてしまうことでしょう。

ちなみに、数か月だけ働いたその会社は、私が去ってしばらくして無くなりました。

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豊田マーケティング事務所
豊田栄康(トヨダヨシヤス)
http://www.toyoda.marketing
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